日本企業の復活に必要なことをツラツラと。

以下の記事を見て考えた。

日の丸電機は、ソフト開発部分が特にダメなんだと。。
で、それはどうしてなのか、SIビジネスでも起きてる気がするので、そこも含めて、ツラツラと書いてみた。



日の丸電機に欠けるソフトウェア重視の姿勢
アップル隆盛の“3つの核”から考える再生へのカギ
――林信行・ITジャーナリスト
http://diamond.jp/articles/-/44510




企業の基幹業務システムの開発も、実は、大きく変遷してきてる訳です。

汎用機時代には、ウォーターフォール型で、要件定義、基本仕様、概要設計などをきっちりと決めてから、開発していく形だった。
開発主体も、汎用機メーカーやその関連会社が主体であり、要件定義から概要設計をするシステムエンジニア、プログラム設計をするプログラマ、プログラムをコーディングするだけのコーダー。コーダーの書いたコードを電子ファイルにするパンチャーと言う職業も存在していた。


それが UNIX、PCサーバーが中心となったクライアントサーバーシステムでは、RAD、EUC など、利用者を巻き込んで、「利用と改善の周期」を繰り返す方向に変化した。今のアジャイル開発ほど短期ではないが、その頃から利用と改善を繰り返すのは、優秀なプロマネにおいては行われていた。
クライアントサーバーシステムの段階では、分業すると課題解決が難しくなる。広い知識を持つシステムエンジニアが主体となり、1つの機能単位(モジュール)全体を見る形にするのが多くなった。逆に、以前通りの分業体制(SE、プログラマ)で行うと、開発速度遅れや機能漏れが増える傾向であった。


この時期までは、要件定義をきちんとしようと言う動きがあり、要件を完璧に整備することでシステム開発全体での課題を減らそうと言う動きがあった。しかし、利用と改善の周期を「素早く」繰り返すのが前提となってくると、要件定義を厳密に定義するよりも、柔軟に要件の変化に対応できる組織や仕掛けが必要となって行く。現在でも、要求開発などの考え方があるが、要求だけ固めすぎても実はほとんど意味を成さない為、要求の洗い出し手法として行われる方向に変化している。


PCサーバが、IAサーバと呼ばれるようになり、アジャイル開発が主流となると、それまでよりも「利用と改善の周期」が劇的に短くなる。こうなると、外部に開発者が居るのでは対応が追いつかないので、そこに気づいた企業から、開発者の内製化、優秀な開発者のユーザー企業での確保が起きている。


しかしながら、日本の多くの企業では、内製化して自社で優秀な開発者を確保する、と言う段階に追いつけてないのが実態である。 

また、日本では大手のIT企業でも、悪い意味での分業体制、縄張り意識:セクショナリズムで、回らない状態が常態化している。優秀な個人を選抜し、権限を強く与えて、責任を持って全体統合するような、プロジェクトを組めないのが、日本の風土、社風から起きており、改善の可能性は低い。結果として、衰退していく一方である。


結論としては、
「権限と責任を与えられた、少数(できれば個人)の統率者で動ける、統率者が選抜したチーム」を作れば、多くの日本企業も再生すると考えてます。


個々の現場の社員の能力は、実際に外資、海外の人よりも著しく劣るとは言えないでしょう。部分的に劣る点はありますが、日本の大手企業の社員の多くは、統率者(経営陣)が愚かである為に、能力が無駄に浪費されているだけと断言できる。
実例として、日産が社員の総入れ替えした訳でもなく、ゴーン社長を中心とした経営陣の変更で、回復したのを見ても明らかである。

日本の大手企業で衰退しているのは、根本的には「経営者として無能な経営陣が居座る」のが大きな理由でしょう。業績が悪化しても、責任も取らず、株主からの追求もない為に、社員をリストラしても自分達は居座るような、ゴミ屑のような経営陣が日本企業に多くなっているのが、すべてを表している。


アップル社などの外資企業も、ドライな部分として、能力が合わない、もしくは、事業変更で社員が不要な場合には手厚い形でクビにする。また、業績悪化でも、社員をクビにするが、業績悪化やなんらかの経営失敗があれば、経営陣はクビになるのが当然である。日本とは大違いなのは、経営陣にも信賞必罰がある事か。

日本が再生するのには、無能な経営陣を、自浄作用で、総入れ替えできるような仕掛けのほうが必要なのかもしれませんね。
しかし、経営陣を替えるのは、実際にすぐできないかもしれませんが、中長期では行わないと厳しいですね。




「アップル、サムスン以外はみんな危機」再生請負人が見た民生電機
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1311/14/news034_2.html


も国産の電機業界についての記事で、

『「4つの対策を講じる必要がある」と小野田氏は強調する。

1.製品収益力の追求
2.最小コスト調達先の確保
3.オーバーヘッド費用の抑制
4.戦略的提携

 これらの4つは既にリストラを余儀なくされた国内のコンシューマーエレクトロニクス企業にとってはやり尽くされた対策のように見えるが、小野田氏は「各社のリストラ計画を確認しているが、圧倒的に不十分な状況だ。もっと思い切った手を打たなければ、長期視野に立った財務の健全化は難しい」と強調する。』


の部分は同意するのだけど、4つの対策するのができない理由があるので、そこに触れていないのが勿体無い記事。自分のように、NECの正社員と、オラクル社の正社員と言う組織の中での経験が無いと、厳しいのだろうけど。

上記の4つの対策を行うにも、優秀な責任者の確保と、その責任者が集めた選抜チーム、それをバックアップするパトロン(経営層)が揃えば面白いはず。

日本オラクル社が、PCサーバー事業において、米国よりも、Windows 市場で先行できたのも、Linux市場で先行できたのも、現場と経営層の双方が優秀だったから。

で、まとめると、

・開発からマーケ/営業、サポートまでの全体を見る責任者の確保
・責任者による選抜された優秀なチーム構築の仕組み

・責任者をバックアップするパトロンとしての経営者
・その経営陣への信賞必罰、自浄作用の仕組みが必須

と言うことかな。



◎リンク先

日の丸電機に欠けるソフトウェア重視の姿勢
アップル隆盛の“3つの核”から考える再生へのカギ
――林信行・ITジャーナリスト
http://diamond.jp/articles/-/44510



「アップル、サムスン以外はみんな危機」再生請負人が見た民生電機
http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1311/14/news034_2.html